【第5回】良い型は、自然と伝播する

あなたは、仕事をする時に以下のような「型」をどれだけ活用していますか?
- 資料のフォーマット(パワーポイントのデザインや構成)
- メール、議事録、障害報告などの文章構成・テンプレート
- 話すときの説明順序や、仕事を進める上でのプロセス全般
実は、「良い型」を取り入れて仕事をすると、自分が効率化できるだけでなく、周囲にも自然と広まり、チーム全体の生産性向上に繋がります。
今回はこういった、「仕事の型」に関するお話です。
1.型を持たずに仕事をする人は多い
- ケース1:会社や組織に「型」は用意されているが、今の働き方に合っていない
用意されたフォーマット・ルールに従って仕事はしているけど、昔作られたものなので現代の業務スタイルにマッチしていない。
こういったケースは意外と多いものです。
それでもやむを得ず使い続けている場合、「型を使うのはあくまでルールであり、効率化の恩恵を得るためではない」という考えに陥っているのではないでしょうか。 - ケース2:そもそも「型」を明確に定めずに、経験や感覚に頼った仕事をしている
「業務ごとに状況や内容は違うし、型にはまるものではない」と考え、自分なりで仕事をしているケースもよく見受けられます。
このような方は、「型に基づいて仕事をしている」という話を聞くと、「自分の仕事はそんな単純ではない」などの反応を示す傾向にあります。
いずれにしても、型がないこと自体を非効率とは考えず、「それが当たり前、仕方のないこと」などと思い、あくまでも仕事の出来る・出来ないは地頭・センス・キャラクター・根性、と捉えて仕事をしてしまっている。
そのような方が多いように感じています。
2.あらゆる業務に「良い型」は必ずあり、実際に使われている
一方、1.のような状況に陥ってる方でも、例えば誰かが作成したプレゼン資料や会議アジェンダなどを見たときに、
「あ、この見せ方ならスッキリ整理できるかも」「このフォーマットは必要な情報が無駄なく揃っていてわかりやすいな」などと感じたことはあるのではないでしょうか?
実は、あらゆる業務に対する「良い型」は研究し尽くされており、探せば必ずあります。
もちろん、自身の周囲だけを見渡せば、それほど多くないかもしれません。
また、まさに目の前の業務に対して、何も考えずにそのまま当てはめられる、というものは、さすがに存在しないでしょう。
ただし、多くのビジネス書籍などで「フレームワーク」として紹介されているものは、まさに洗練された仕事の型であり、これこそが使い尽くされている証拠なのです。
一方で、こういったフレームワークを自ら積極的に学習し、それを前提に仕事をできている人は、確かにあまり多くないでしょう。
3.だからこそ効果的な、「型」に基づく業務の遂行
- 優秀な人ほど、「型」にこだわる理由がある
優秀な人ほど、多くの人の仕事ぶりから学習し、共通点を見出して自分の中に取り込もうとします。
そして、世間に出回っているフレームワークは、このような優秀な人達が共通的に行っているエッセンスを抽出し、形にしたものです。
そのため、仕事ぶりを突き詰めれば突き詰めるほど、優秀な人の共通点を見れば見るほど、世間の有名なフレームワークに近づいていきます。
優秀な人は、その経験を多く重ねているため、「フレームワークを学ぶことこそが、成長の近道だ」と理解しているのです。 - 自分の仕事が効率化されるだけでなく、周囲への波及効果もある
普段、「型」に基づく仕事をしていない人ほど、良い型を目の当たりにした時の衝撃は大きく、「自分も取り入れたい」と思うものです。
当然、普段から「型」で仕事をしている人も、他の良い型に気づいたら、「その型も取り入れていこう」と考えます。
いずれにしても、良い型を持って仕事をしていると、自然と周囲が真似をし始めます。
その結果、チームやプロジェクト全体がスムーズに回り始めるという効果にも繋がります。 - 評価が自然とついてくる
この場合、特別なアピールをしなくても、周囲が「あの人の型のおかげで、これだけ仕事が楽になった」と広め始めます。
人は、「良いことに気づいた!」と思うと、誰かに話したくなるものです。
結果的に、自分の知らないところで評価が高まっていくことでしょう。
4.良い型を見つけたら積極的に取り入れて、自分でも型を作り始める
- 「このやり方は便利だ!」と思ったら、躊躇せずに取り入れる
「これ便利そうだけど、どう思う?」などと、周囲に聞く必要はありません。
仕事のやり方を積極的に変えたいと思う人はあまり多くないので、ネガティブな反応を受けやすいです。
なので、良いと思ったらまず自分が使ってみて、その成果や便利さを体感してみてください。
それが実際に良いものであれば、周囲が「それ、いいね!」と勝手に興味を持ち始めます。
これを繰り返していけば、より多くの型を身に付けていくことの価値を体感できるはずです。 - 自分が行っている業務から、型を作ってみる
「型」の価値に気づき始めたら、次は自分が普段無意識に行っている業務を、型に落とし込んでみましょう。
例えば、会議の進め方・議事録の書き方・タスク計画の立て方などを、
「1.目的/2.手順/3.チェックリスト」といった、簡単なフォーマットに書き出してみるところから始めてみます。
書き出してみることで、「あれ、こうした方がもっと効率的かも」などと気づき、今までのやり方よりも良い型が自然と出来上がるはずです。
まさに、自分専用のフレームワーク集が出来上がっていきます。
これを繰り返すことで、「毎回考えて仕事をするよりも、型を作っていった方が圧倒的に早いし、質も上がる」と気づくはずです。
5.「型の仕事」に慣れることで、メンバー育成もうまくいく
フォーマットなどの型を作っていると、感覚で仕事をしていると見落としがちな「非効率ポイント」に気付けるようになります。
「型」というのは、逆算思考(ゴールから逆算して、最適な手順を組み立てる)によって構築されます。
そのため、感覚的に仕事をしている時は「正しい」と思っていたものが、ゴールから逆算してみると実は意味がない・非効率なプロセスを踏んでいたというケースは、思った以上に多いものです。
「型」を作る過程でその事実に気づけるため、他のメンバーも無意識に非効率を引き起こしているのでは?、と推察できるようになります。
そして、「型」を持っていることで、「どうすれば良くなるのか?」という答えを持った状態で、アドバイスできます。
もちろん、リーダーであれば、自身が使っている型を積極的にメンバーに共有することで、効率的な育成・チーム全体の底上げにつなげられます。
6.まとめ
- 多くの人は、自分の型を持たないまま、それが非効率と気づかずに仕事をしている傾向にある
- あらゆる仕事には「型」があり、優秀な人ほど「型」を学ぶことに価値を感じている
- 優れた型を使っていると、周囲にも伝播し、チーム・組織の効率アップにもつながる
- 「型」は作り出すこともできるし、メンバー育成にも活用できる
仕事のやり方を「型」として整えるメリットは、自分だけでなく周囲まで巻き込んで生産性を高められることにあります。
まずは、「これだ!」と思う型が見つかったら、積極的に試してみましょう。
そして、型を取り入れることに慣れてきたら、新しい型を生み出すことにチャレンジしていきましょう。
きっと、思わぬ形で周囲からポジティブな反応が得られて、あなたの評価も自然と高まっていくことでしょう。

